すずめの戸締まり、n回目を観てきました

 気に入った映画は何回もリピートするオタクのアデリーです。すずめの戸締まり、もはや何回目かになりますが、特典の「芹澤のものがたり」につられて妹と行ってきました。

 すずとじ、好きでして。芹澤もお熱とまではいかないのですが、好きでして。もっとこの世界の解像度を上げたい、と思うとついついつられてしまうのです……。

 特典の芹澤のものがたりについてちらっとと、あと本編の感想というか、刺さった点を綴りました。

 あ、ちょっとネタバレになるので注意です。

芹澤くん、すげえ良い子やんけ

 「貧乏ホスト」と環さんに呼ばれてた芹澤ですが、マジでそうだったんかい、と。あとこの世界でもコロナあった体なんですね。上京して入学早々に孤独な自粛生活ってだけでも大変なのに、バイトもして……。

(実家暮らしで私立大に通っていた私とは大違いだ……。偉すぎる)

 赤い車はアルファロメオだったんですね。というか車好きでこれに乗りたくて稼いでるのかと思ったらちょっと違った。空しさを埋めるために買った結果、今では気に入っている、みたいな感じなのか。

 アデリーの父はNSXという赤い車に乗ってるのですが、父の場合はその車に乗るために長年稼いでいたので、そういう車に乗る人は車への強いこだわりが先なのかと思っていた……。

 戸締まりとはまた違う意味でけっこう危ない世界に首つっこんでて「芹澤ぁ……!」となりましたが、草太がいてよかったし、草太との友情を選べる子でよかった。

あとがきの言葉に

 新海監督のあとがきに「芹澤だけが未だモラトリアムのさなかにいて、人生の手前で足踏みしている」とあって、ちょっと思うところがありました。他のキャラクターたちが自分の人生を生きているのに対して、芹澤はなんだかふわふわしている。

 そのふわふわ状態……モラトリアム期間。分かるなあというか、とっくに社会人のはずの私が、まさにそんな感じな気がして。

 もう三十路近い人間がモラトリアムとか言っている場合ではないんですけど、でも自分が何のために生きるかとか、何をしたいとか、すべきとか、そういうのが見つかっていないことに気付いて空っぽになっている時期なので、読んでてあとがきの言葉で止まっちゃいました。

すずめの戸締まりという作品が好きな理由

 私がこの作品を好きな理由としては、作品に込められた思いに共感したからです。

 映像美とかストーリーとか構成とか音楽とか、色々最高ですが、私はその作品の作り手が持つ価値観とか、メッセージ性に共感できないと、基本的にハマりません。

 すずとじで私に刺さったのは「自分で自分を救う」という鈴芽のラストシーンでした。

 映画のパンフレットの中で監督へのインタビューがあって、そこでも触れられているんですが、これは「自分で自分を救う話」なんです。

 他人に救ってもらう物語だと、まずその救ってくれる誰かに出会わないといけない。それは誰にでも見つけられるわけじゃない。でも自分自身には会える……という監督の考え方とメッセージに、「え、めっちゃ分かりみが深い……」となりまして。

 監督とはちょっと違うけど、自分を救えるのは自分しかいないと思っていて。

 こっからちょっと持論なんですけど、自分を救ってくれる相手を見つけられる・られないというか、自分のことを理解できる・できないという問題があるなと。……まあ、結果的には同じようなことかもしれないんですが。

 自分が感じているつらさとか、抱えている悩みとか、痛みとか、これまで生きてきた自分の全てを正確に把握できるのって、自分しかいないじゃないですか。

 エスパーじゃないんだからどうやったって他人からは理解しえないものがある。自分にしか分からないどうしようもなさとか、足掻いても何しても自分が自分である限り逃れられない問題とか。

 似ている価値観の人に出会えれば、理解される部分もあるとは思うんですけど、全く同じ価値観をもって、自分の色んな面を理解してくれるということはまずない。

 それが悪いというわけではなくて、むしろ違う価値観だからこそ、自分の世界にはないものをもらえたりもするわけですが、じゃあこの誰にも理解されず、誰にも見つけられないモヤモヤはどうしてあげたらいいんだろうと。

 そう考えたときに「自分は全部分かるじゃん」→「じゃあ自分を救ってあげられるのは自分だけじゃん」と思い当たりまして。

 これまで生きてきた中で自分なりにそういう考え方に行き着いていたからこそ、監督のインタビューを読んでさらにこの作品が好きになったし、勇気をもらいました。

 自分で自分を救うのも簡単ではないというか、下手したら自分を哀れんで甘やかすだけになってしまうので、正解に辿り着くのが難しそうですけどね……(ヽ´ω`)

 それから、もう1つ。

 個人的に、自分は彼氏とか恋人とか、パートナー的な存在が見つけられない気がしていて、自分の人生にそういう存在が(多分)ないものだと思っているので、ボーイミーツガールで互いに救われる話だったりするとダメージを負います。

 作品として好きにはなるかもしれないけど、多分同時に傷を負ってる(笑)

 そういう理由からも、すずとじのラストシーンで小すずめに声をかけたのが鈴芽ではなく草太だったら、私は多分泣けなかったし、何回も観に行くほど好きになっていないと思います(^_^;)

 好きなんですけどね、ボーイミーツガール……。でも都合よく現れて自分を守って救って愛してくれる存在って、現実的に考えると「ねえな……」って感じなので。

 ご都合展開苦手で少女漫画苦手な人種としては、ちょっと――……!!(面倒くせえな)

 以上、すずとじの感想まとめでした。円盤が出たら買いたいと思います。